レザー製品に求めるものってなんですか?
強さ? 肌ざわり? ハードなイメージ? セレブなイメージ? カラーリング? 独特の香り?
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いろんな趣向でレザーを選ぶ方がいると思います。
じゃあ、カワニシカバンはどんな理由でレザーを選んでいるか知ってます?
「知らない♪」とか言わないの♪
カワニシカバンは「経年変化」で選びます。いわゆる「アジ」です。モノは年月が経つにつれ、「劣化」していくのが普通です。これを「経年劣化」と言います。工業製品などにはよく使われる言葉です。
しかし、レザーの世界では話が違ってきます。
「経年熟成」とも言うべき素敵な変化を起こすことがよくあります。それはレザーの種類や部位によっても違いが出ますが、違いが顕著に表れるのはその「鞣し(なめし)」の方法によるところが多いです。
「カワニシカバンが惚れたバケッタレザーの魅力!」でも触れましたが、
「鞣し」には主に「タンニン」という植物の化合物を使った「植物タンニン鞣し」と「塩基性硫酸クロム」と呼ばれる化学薬品を使った「クロム鞣し」があります。
時間がかからず植物タンニン鞣しよりも工程が少ないため、現在流通しているほとんどの革がこの「クロム鞣し」といっても過言ではありません。
日本でも戦後の高度成長期には多くのタンナーが「クロム鞣し」に方向転換しました。
「クロム鞣し」は植物タンニン鞣しと比べると変色や変化が少なくメンテナンスを頻繁に行う必要がないというのが最大のメリットです。
しかし、
変色や変化が少ないということは、時間が経ってもあまり変化が見られない、ということを示しています。
工業製品ならそれでいいでしょう。むしろ、その方がいいでしょう。
しかしカワニシカバンでは、当社のカバンを手にしたすべての人の生活と共に変化していくカバン、生活の一部になって使えば使うほど「愛着」が沸いてくるカバン作りを心がけています。
それゆえに、カワニシカバンで使用するレザーは「植物タンニン鞣し」なのです。
しかし、実は世界にはいろんな技法の「タンニン鞣し」が存在します。その中で1番カワニシカバンの理想にぴったりな製法の「タンニン鞣し」を見つけました!
それはイタリア・トスカーナ地方に伝わる「バケッタ製法」という手法で作られたレザーです。バケッタ製法とは植物性タンニン(シブ)をじっくりと時間を掛けて染みこませながら鞣していく伝統的な製法です。
しかし、この製法は時間と労力がかかり現在のように科学薬品で鞣す工場が主流になってきているので、製法を受け継ぐ職人も減少傾向にあり、大変希少な製法となってきています。
しかも、詳細な製法はオープンにされておらず、トスカーナ地方のタンナー(鞣しを生業とする人々)の中だけで細々と受け継がれているのです。
トスカーナ地方でも植物鞣しが誕生したとされるサンタクローチェ地区にある老舗のテンペスティ社で製造されているのが、カワニシカバンでseow(セオ)やseowL(セオエル)にも使用している「エルバマット」というレザーです。
「エルバマット」はレザーにオイルを加える作業(加脂といいます)を時間を掛けてじっくりと行い、レザーにたっぷりとオイルに染みこませます。
レザーの経年変化(エイジング)はレザーに含まれた内部のオイルが時間をかけて表面に浮いてくることによる変化のことを言います。「エルバマット」は時間が経つにつれ色の深みが濃くなり、一般的なレザーに比べて艶が増すのがの特徴です。
この「艶」の深さと美しさに魅せられてしまったカワニシカバン一同は、1も2もなく「エルバマット」をカワニシカバン製品に独占使用すると決めました。
ほとんどお手入れの手間もいらないのに、しなやかでどんどん美しい「艶」がでてくる「エルバマット」、カワニシカバン製品に出会った際には手に取ってその深い「艶」を確認してみてください♪